ゼミ紹介

Seminar

宇都宮 遼平ゼミナール

2024.07.11

ゼミでは、どのような法律や問題を扱いますか?

ゼミで扱うのは民事訴訟法です。民事訴訟法とは、交通事故の損害賠償請求や貸金の返済請求など、個人間の法的な紛争を扱う訴訟(民事訴訟)の手続きのあり方や進め方を定めた法律のことです。「手続法」という領域に属する法律で、原告や被告が主張・立証を尽くす機会を十分に保障しつつ、公正かつ効率的な民事訴訟のあり方というものを、裁判所(裁判官)・原告・被告の三者の視点から考えていきます。基本三法(憲法・民法・刑法)を理解したうえで学ぶ科目なので難解に感じるかもしれませんが、ときに美しさを感じさせるほどの高度な論理性が、民事訴訟法の魅力です。

ゼミはどのように進めていますか?

3年生の春学期に民事訴訟手続の原則的な流れを学んだ後、秋学期からはゼミ生の志望進路や興味・関心に応じたテーマに関する調査・報告を進めていきます。2024年度のテーマは相続関係訴訟や交通事故損害賠償請求訴訟です。授業は、グループで進めた調査や検討の結果を発表してもらい、その内容をもとにゼミ生同士で議論を行うという形で進めています。また、ゼミ合宿の一環として、他大学の民事訴訟法ゼミとの合同ゼミも行っており、多数の大学のゼミ生と模擬裁判や討論会を行っています。同じ民事訴訟法という法律を勉強する同世代の学生との議論から刺激を受けつつ、親睦を深めていってほしいと考えています。

ゼミには、どのような学生が所属していますか?

ゼミ生のなかには、公務員を目指す学生もいれば民間企業への就職を目標にしている学生もいて個性はさまざまですが、総じて真面目なメンバーが多い印象です。また、民事訴訟法という科目の特性のためか、司法試験を志す学生が比較的多いところも特徴です。司法試験を目指して励んでいる学生に刺激を受けて、ほかの学生たちの学習意欲も高まっているように感じています。民事訴訟法は生活に関係する分野ですし、適正な手続きがあるからこそ個人の権利が守られるということを知ることのできる法律なので、どのような将来を選択するにしても大切な学びになると感じています。

Student Voice

安東 哲哉さん

法学科 3年
神奈川県立
大和南高等学校 出身

難解な科目を深掘りすることで
法律全体の理解度が上がりました

難しいことに挑戦したいという想いで宇都宮ゼミを志望し、現在は交通訴訟の問題を検討しています。民事訴訟法は出てくる用語が難解で苦戦することもありますが、ゼミを通して民事訴訟に触れてきたことで法律全体に対する理解力が高まった実感があります。民事訴訟法は基本三法に関連する部分が多いため、研究すればするほどほかの法律についても詳しくなれます。宇都宮ゼミは、他大学と合同で模擬裁判や討論会を行うところも特徴的です。他大学の学生や教授陣のハイレベルな議論に驚いた部分もありましたが、自分も同じレベルで話せるように頑張ろうというモチベーションにつながりました。

※学年は取材時のもの

Teacher Voice

法学科 准教授

宇都宮 遼平

民事訴訟法を学ぶことで
身につく「客観的な判断力」

民事訴訟法は「眠素(民訴)」と表現されてしまうほど難解で敬遠されがちな科目ですが、論理の積み重ねで構成されている法律なので、ゼミのなかには「パズルを組み合わせていくような面白さがある」と話してくれる学生もいます。また、民事訴訟法を学んでいくと訴訟全体を俯瞰して捉えていくような場面も出てくるため、物事を客観視し冷静に判断していく能力も養われるのではないかと思っています。これは民事訴訟に限らず、さまざまな分野で役に立つ能力といえるでしょう。民事訴訟法が持つ高度な論理性に興味を抱き、学ぶことに対して意欲的な学生の参加を楽しみにしています。

※学年は取材時のもの

長谷川 新ゼミナール

2024.03.10

ゼミでは、どのような法律や問題を扱いますか?

私が専門としている商法、金融商品取引法を主に扱っています。法律の条文を解説するだけでは理解しにくいので、実際に社会で起きていることを取り上げ、その背景や法的規制が必要な理由などを説明し、自分が生きている世界と関わっている話なのだと感じてもらうように心がけています。最近は、米欧における金融機関の破綻に関するニュースをもとに説明しました。学生には、新聞や雑誌、ニュースで見たことのすべてが学問につながることを知ってもらうとともに、仕入れた情報を精査し、正確に取り入れていく力が重要だと感じてもらいたいです。

ゼミはどのように進めていますか?

私がニュースを解説するだけでなく、学生にも少人数のグループでの時事問題の研究を進めてもらいます。社会に出るとプレゼンテーションを行う機会が増えるので、学生の間に経験しておいてほしいという思いから、研究で出た結論を発表する場も与えています。時事問題は商法に関するものに限らず、学生が興味を持ったもので進めてもらいます。これまでも経済に関する法律や家族関係の問題、法の歴史など、さまざまなテーマが取り上げられました。強制されたものよりも興味のあるもののほうがモチベーションを持って活動でき、研究や発表のスキルも伸びると考えています。

ゼミには、どのような学生が所属していますか?

ゼミ生同士の仲がいいように思いますし、私自身も学生同士がコミュニケーションを取れるようなゼミの運営を意識しています。というのも、コロナ禍を経験したことで、オフラインでのコミュニケーションをためらっている学生がいると感じるからです。2023年度には、2~4年生まで集めて合同懇親会を開くなど、交流を持ってもらえるように工夫しました。ゼミ内に友達ができると、ゼミに出ることが楽しみになり、大学に来る習慣ができます。他の授業に対する意欲も高まり、社会に出るための力がどんどん付いていく。ゼミが楽しい場であることは、重要だと考えています。

Student Voice

杉村 脩輔さん

法学科 3年
茨城県立
麻生高等学校 出身

法と社会の関わりを学び
視野が広がりました

ゼミでは新聞などを使って時事問題と法の関わりについて学んでいます。多くの記事を読むうちに社会への関心が高まり、世界で起きた出来事が日本に与える影響まで考えながらニュースを見るようになりました。先生が「就職活動は社会を知る貴重な機会」と考え就職活動関連の記事を取り上げることもあり、就職活動に積極的に取り組む学生が多いのもこのゼミの特徴です。さらに、ゼミ生は各自が自由なテーマで調査・研究を進め、先生のアドバイスを受けながら好きなことをとことん追究しています。ゼミで身につけた自由な発想と広い視野を、将来に活かしていきたいです。

※学年は取材時のもの

Teacher Voice

法学科 教授

長谷川 新

研究・プレゼンと同様に
就活も大切にするゼミ

このゼミでは、時事問題の研究を通じて社会や法律を知ることに加えて、就職活動も大切にしています。就活こそ、大規模なフィールドワークだからです。学生の間に社会に出て、多様な企業に触れられる貴重な機会なので、早く始めるに越したことはないといえます。ゼミ内でも日経新聞の就活生の記事をピックアップし、企業研究やインターンシップの大切さを考えていきますし、学生の目標に合う取り組み方や企業を一緒に模索していきます。社会で起きていることや数々の企業が自分に関係していることを知り、研究にも就活にも主体的に取り組む力を身につけていきましょう。

※学年は取材時のもの

武藤 達夫ゼミナール

2024.03.10

ゼミでは、どのような法律や問題を扱いますか?

国際法、国際人権法に関連するさまざまな課題を扱っています。国際法とは、各国の国内法とは異なり、国家間の利害調整や国際社会の秩序維持などのために合意されたルールのことです。扱うテーマの例としては、気候変動問題への対応、核兵器や地雷などの禁止、死刑や拷問などの廃止、ロシアのウクライナ侵攻に関連する国際法や新型コロナウイルスをめぐる国際協力など、多岐にわたります。このゼミでは、さまざまな国際法の内容や背景を学ぶだけでなく、現行の国際法が合理的なものといえるかという批判的な視点も養い、法を多角的にとらえていきます。

ゼミはどのように進めていますか?

2~3年生のゼミでは、学生や私が選んだテーマについて4~5人で議論し、意見を出し合いながら、グループで1つの見解にまとめるグループワークを行います。取り上げるテーマは、最新の新聞記事からも選定します。日本とも関連のある国際問題を扱うことで、国際法が他人事ではないと気付くことができます。たとえば、ウクライナ侵攻の問題では、避難民を受け入れや復興援助といった形で日本も直接関わっていますし、国際人権法上の議論が進んでいる同性婚の問題も、国内の自治体でパートナーシップ制度が導入され始めていることとつながります。国際法を通じて、身近な地域や社会を知る機会にもなるでしょう。

ゼミには、どのような学生が所属していますか?

国際法を扱うこともあり、国際問題に関心がある学生や海外に出て活躍したいと考えている学生が多いように感じます。コロナ禍で渡航の困難な時期が続きましたが、海外での語学研修や留学も少しずつ回復してきました。国際法・国際人権法は、さまざまな国や地域の社会・文化・歴史などに関係するものなので、海外に興味がある学生にとって国際法を研究することは、さらに視野を広げるきっかけになると思います。

Student Voice

宮澤 侑作さん

法学科 4年
神奈川県立
伊勢原高等学校 出身

国際法の学びを通して
成長を実感しています

ゼミではウクライナ情勢やガザ地区の戦闘など、時事的なテーマを中心にグループごとに議論しています。先生が一人ひとりの率直な意見を尊重してくださるので、自分の意見を発言する力や異なる考え方を受け入れる姿勢が身につきました。初めは難しかった国際法も、書籍などで得た知識を具体的な国際問題と結び付けて考えられるようになり、興味が深まっていきました。また、世界中で起こる紛争や災害を自分たちが生きる社会の問題として捉えられるようになったのも大きな成長だと感じています。今後も国際法など法律の知識をもとに、時事問題を深く考えていきたいです。

※学年は取材時のもの

Teacher Voice

法学科 教授

武藤 達夫

国際法を学ぶことは
“世界”を知ること

国際法には関係する国々の考えが反映されており、その考えにはそれぞれの国が置かれた状況や環境、歴史が影響を与えています。そのため、国際法の学びを通じて、さまざまな国・文化・宗教に属する人々の生活を理解することができ、日本で暮らしているだけでは得難い気付きに触れ、視野を広げられます。また、一人ひとりの意見が異なることの大切さも感じられると思います。「国と国とは違うもの」という前提で考えなければ、国際社会の合意形成は難しいからです。ゼミで他者の考えを理解しようと努める経験をし、個性を大切にしてもらえたらうれしく思います。

※学年は取材時のもの