教員の視点

アルバイトにも影響!?

「103万円の壁」の問題

ANSWER!

答えてくれる人

法学科 教授 山田 有人

担当科目は税法、国際租税法、ゼミナール。公認会計士の資格を持ち、
関東学院大学の講師となる前は大手税理士法人パートナーやエンタメ企業のCFOなどを務め、
企業の上場を経験してきた。趣味は歴史、読書、テニス。

教員の視点

アルバイトにも影響!?

「103万円の壁」の問題

ANSWER!

答えてくれる人

法学科 教授 山田 有人

担当科目は税法、国際租税法、ゼミナール。公認会計士の資格を持ち、
関東学院大学の講師となる前は大手税理士法人パートナーやエンタメ企業のCFOなどを務め、
企業の上場を経験してきた。趣味は歴史、読書、テニス。

ココを理解

「103万円の壁」が
あることによって学生や主婦が
仕事をセーブし「人手不足」に。

「103万円の壁」があることによって
学生や主婦が仕事をセーブし「人手不足」に。

日本では、雇用主から支払われる収入が年間103万円を超えると所得税が発生するという法律があります。また、子どもの収入が年間103万円を超えると親の扶養から外れ、親の所得税も上がってしまいます。これが「103万円の壁」です。そのため、アルバイト・パートをしている学生や主婦(主夫)は、103万円を超えないように勤務時間を調整する人が多く、結果として人手不足の問題が生じています。

ココが着眼点

日本の税制ができた経緯を
知ることで「103万円の壁」の
解決策を考えられる。

日本の税制ができた経緯を知ることで
「103万円の壁」の解決策を考えられる。

日本の税制(税金の仕組み)は、戦後GHQが招聘したアメリカの学者たちからの勧告に基づいて大改正がされましたが、現在も基礎となる内容は変わっていません。当時は夫が働き、妻が家庭に入るというライフスタイルを前提に税制が作られたため、扶養という考え方が前提となり、その後の改正が行われましたが「103万円の壁」が法律で定められてしまいました。しかし、現在の日本は夫婦共働きが増加しており、また、自分で生活費を稼ぐ学生もたくさんいます。今のライフスタイルに合わせ、税制を抜本的に変える必要があるといえます。例えば、1円でも収入を得たら所得税を払うものとし、反対に家賃や子どもの養育費などは経費として認められる税制に変えるなどの方法が考えられます。

「租税法律主義」の考え方を
認識すると学生でも税制を変えられる
可能性が見えてくる。

「租税法律主義」の考え方を認識すると
学生でも税制を変えられる可能性が見えてくる。

租税法の基本理念のひとつ「租税法律主義」は、税金の徴収は国会が制定した法律に基づかなければならないという考え方です。国会とは、国民の投票によって選ばれた代表である議員が取り決めを行う場。つまり、選挙権を持つ私たちの考えが、国会を通じて税制に反映される可能性があるといえます。ここで重要なのは、税金を感情で考えてはいけないということ。税金は、日々の暮らしの安全や安心を維持するために必要不可欠なものです。だから、単に「税金を払いたくない」という発想ではなく、「どのような税制なら納得できるか」という発想で政治家の考えを見ていくことが重要です。

ココで法思考

「103万円の壁」を
超えるメリットがあることも
考えてほしい。

「103万円の壁」を超えるメリットが
あることも考えてほしい。

多くの人は「103万円を超えないように働こう」と考えますが、超えた場合のことも考えてみましょう。103万円を超えると所得税が課せられますが、その分収入は上がり、社会に出る時間が増えることで税制やビジネスのルールなどを学ぶことができるはずです。起業のきっかけにもなるかもしれません。103万円を超えるメリットも考え、働き方を選びましょう。