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2025.02.17

法学会主催講演会「認知症鉄道事故裁判 閉じ込めなければ罪ですか?」で高井隆一氏にご講演いただきました

2024年12月5日、テンネー記念ホールにおいて、法学会主催講演会「認知症鉄道事故裁判 閉じ込めなければ、罪ですか?」(講師:高井隆一氏)が開かれ、「特別講義2」の履修者のほか多数の一般市民の方も含め、約350名が参加しました。

今回の講演会では、認知症の父親を鉄道事故で亡くし、鉄道会社と6年間に及ぶ裁判(いわゆる「JR東海事件」訴訟)を続けてきた高井隆一氏(認知症の人と家族の会愛知県支部会員)を講師としてお招きし、ご自身の貴重な体験をふまえて講話をいただきました。

「JR東海事件」訴訟は2016年の最高裁判決で原告・JR東海敗訴の逆転判決が下され、遺族は損害賠償責任を負わないことが確定しました。民法714条の法定監督義務者責任にかかわる最重要判例として教科書や参考書にも登載され、本学でも、「民法入門」、「民法債権各論2」で取り上げています。授業で取り上げられた訴訟の当事者のお話を聴ける機会は滅多になく本学学生にも意義深い講演でありました。このほか、地域においても認知症高齢者の問題は非常に重要となっていることから、履修者以外の参加者(本学学生・教職員、一般市民)が100名を超え、関心の高さが伺えました。

講師からは、事故当時の家族介護の状態、突然の事故死とJR東海からの訴訟提起、最高裁で遺族に責任はないとする逆転判決を得るまでの取り組みについてリアルなお話がありました。最後に、認知症の人が安心して生活できるまちづくりの重要性と認知症の方を見かけたら「今日は良い天気ですね。どちらにお出かけですか?」と是非ともお声掛けをと強調されて結びとされました。

質疑・応答の時間では2名の質問がありました。横須賀市議会議員の方は、認知症条例づくりへの講師からのアドバイスとJR東海事件最高裁判決の地域での意義についてのご質問でした。もう1名は、本学看護学部教員の方から、在宅介護では今後独居高齢者が認知症になり、事故に巻き込まれて訴訟となるリスクが増えることが予測されるとして、準備しておいた方がよい資料はどのようなものかというご質問がありました。それぞれ専門家の立場からのご質問でもあり、意義深い内容でした。

なお、一般の参加者からは、「認知症介護家族の大変さを痛感しました。最後に共生社会の実現のお話しがあり、とても印象に残りました」、「自分も他人事ではない年齢になり、同じことが起きてもおかしくないと思っており、貴重な話が聞けて大変参考になりました」というような感想が寄せられております。

今年度の「特別講義2」は「福祉と法を考える」がテーマです。今回は、山本譲司氏の講演会に引き続く企画であり、「特別講義2」のみならず、JR東海事件訴訟に関連する授業科目の展開においても大変有意義なものとなりました。