2024.12.06
法学会主催講演会「獄窓から見えるもの-障害と犯罪の話」で山本譲司氏にご講演いただきました
2024年10月24日、テンネー記念ホールにおいて、法学会主催講演会「獄窓から見えるもの-障害と犯罪の話」(講師:山本譲司氏)が開かれ、「特別講義2」の履修者のほか一般市民の方も含め、約240名が参加しました。
講師の山本譲司氏(作家・元衆議院議員)からは、矯正施設(刑務所)の受刑者には本来まず福祉で対応すべき多くの高齢者・障害者が含まれている実態について、自らの受刑者としての実体験をふまえて問題提起がありました。さらに、同氏からは、複数の刑務所で受刑者の社会復帰支援に関わるなど同氏の取り組みについてのお話があり、海外では、罪を犯した障害者を地域社会で支えるための施策が大きく進んでいる国があることも紹介されました。最後に、講演の結びとして、同氏は、罪を犯した障害者を排除しない、真の共生社会をつくるためには「社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)」の理念が重要であることを強調されました。
質疑・応答の時間では、法学科及び地域創生学科学生から1名ずつ、一般の参加者から1名の合計3名の質問があり、質問者と講師のあいだで熱心なやりとりが行われるなど盛況でした。一般の参加者からは、「獄窓記」を読んで参加したが、著書には書かれていないお話も拝聴できたのでよかったとの感想が寄せられています。
講師の山本譲司氏の著書「獄窓記」が社会に大きなインパクトを与え、厚生労働省の調査・研究(平成18~20年度)を経て、平成21年度から地域生活定着支援センター事業がスタートし、検察庁に社会福祉士等の有資格者を社会福祉アドバイザーとして配置する対応が各地で進められています。再犯防止推進法(平成28年)が公布され、都道府県・市町村においても、再犯防止推進計画の策定が求められる状況においては、公務員志望の学生に限らず、地域住民にとっても真の共生社会を実現することの意義が感じられた講演でありました。
今年度の「特別講義2」では「福祉と法を考える」をテーマとして、司法と福祉の連携に繋がる政策展開をトレースできるようゲストスピーカーとして実務家をお招きし、講話いただいています。山本譲司氏の法学会主催講演会はその一環として企画されたもので、「特別講義2」の授業展開においても大変意義深いものとなりました。