教員紹介

法学部教員コラム vol.7

2012.12.05 法学科 串田 美保子

アメリカで目撃したグループ意識―――「ソロリティー」前編

法学部では、法学部教員の研究生活の一端や、大学人として
折にふれて感じたことを、コラムとして順次紹介しています!

 

 

2012-12-5 掲載
vol.9【アメリカで目撃したグループ意識―――「ソロリティー」】
執筆者:法学部 教授 串田 美保子
(社会言語学、TOEICスキルズ、英語リーディング、メディア英語など)

 

 

このコラムは、前編・後編の2回に分けて紹介します!

 

 

【前編】

私が初めてアメリカに行ったのは本学文学部に在学中の20歳の時、行き先はリンフィールド大学でした。渡米前、アメリカは「移民でできた国」「人種のるつぼ」「様々な人種の人々が微妙なバランスで社会を作っている国」など教科書通りのイメージしかなかった私が目にしたのは、やはり人間は居心地の良い人々同士でグループになりたがるものでアメリカ人も決して例外ではなかった、というまさに目から鱗(うろこ)の事実でした。特に、人種や家柄などにこだわって固まりたがるというショッキングな事実を「フラタニティー(Fraternity)」「ソロリティー(Sorority)」という排他的な「社交クラブ」の存在で知りました。

 

 

この社交クラブは新入生に対する正式な勧誘期間(Rushといいます)を10月上旬頃に設けており、ちょうど交換留学期間中だった私にもお誘いがかかりましたので、このイベントに参加することで、恐らくごく限られた内容だったとは思いますが、このいわゆる「秘密組織」の一端を少しだけ垣間見ることができたようです。

 

 

「ソロリティー」は女子学生のクラブで(この対極に「フラタニティー」という男子学生のクラブがあります)、それぞれギリシャ文字のつく独特なグループ名がついており、ひとたびそのクラブの入会が許可されると、在学中はこのクラブの一員ということで大手を振ってパーティーで夜遅くまで騒いだり(ただしソロリティーには門限があります)、仲良しフラタニティーと合コン系パーティーをやったり(例えばソロリティーAの仲良しのお相手グループはフラタニティーB、というようにカップル関係にあるようでした)、可愛い後輩のソロリティーシスターズのためなら期末試験の過去問題をどうにか入手してきて、しっかり“優”が取れるよう特訓までしてあげる、などなど、在学中には学業と遊びを充実させるために様々な目的をもって助け合うグループ、という印象でした。また、卒業した後も、同じ社交クラブの出身者ということで、お互いに結びつきが強いようでした。この様子は、例えば2004年の米映画「キューティーブロンド」で垣間見ることができます。

 

 

私も参加したその勧誘期間“Rush”は、新入生向けのソロリティーへの勧誘イベントが行われる大学が公認の催し物期間です。ソロリティー入会に興味のある新入生はその毎晩繰り広げられるイベントに出席して、それぞれがどんなソロリティーかを知ると同時に、お目当てのソロリティーが見つかれば、そこの先輩方に最終的に自分を仲間として選んでもらうために一生懸命に様々なイベントに更に出席し続けたり、「入会テスト」と称される要求に応えてあれこれ行動を起こすことになります。例えば、出席を求められたミーティングには必ず出席する、とか、オリジナルのおそろいのTシャツを作って、決まった期間中はずっと着る、などです。

 

 

ひと昔前まではこの種の社交クラブのメンバーであることは大きなステータスシンボルだったそうです。つまり、入会の条件として「良い家柄の出身者」「勉学もスポーツも優秀」「ルックス抜群」という条件が設けられており、どのクラブに入るにもそれぞれの厳しい「テスト」に合格しなければならなかったらしいのです。しかしその時私が見た限りでは、その傾向は少しは残ってはいるものの、ほどほどの程度であって、すでに単なる仲良し集団の集まりとなっていたようでした。
ただし、「ほどほどの程度」とは言うものの、私の体験したこの1983年でも、やはりある程度のハードルは設けられていて、ちなみに、私に声をかけてきたのはたまたま同じ女子寮に多くメンバーが住んでいたΦΣΣ(ファイシグマシグマ、略してファイシッグ)というグループで、その他の3つのソロリティーグループに対しては「私たちが一番美人で家柄も良い」と豪語してはばからないグループで、やはり自分たちと似たような女子ばかりを勧誘していました。私にも声がかかったのはただ単に交換留学生だったから珍しがられただけだったのですが、美人でも裕福でもない私はその自信溢れるグループ意識に圧倒されっぱなしでした。

 

 

(・・・後編につづく)

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