教員紹介

法学部教員コラム vol.6

2012.11.27 地域創生学科 徳永 江利子

家族法という不思議な世界

法学部では、法学部教員の研究生活の一端や、大学人として
折にふれて感じたことを、コラムとして順次紹介しています!

 

 

2012-11-27 掲載
vol.8   『家族法という不思議な世界』
執筆者:法学部 講師 徳永 江利子 (民法家族法、家族関係の法と政策など)

 

 

 

 

みなさんは家族にもルールがあることを知っていますか?家族のルールを定めた最も基本的なものは「家族法」と呼ばれる法律です。

 

 

この家族法は不思議な法律で、ルールでありながらその例外が比較的認められています。
例えば、男女関係には友人関係、恋人関係、夫婦関係など様々なものがありますが、家族法では、その中でも法律上の手続(婚姻届を役所に提出する)にしたがって結婚した夫婦だけを保護するのが大原則です。
したがって、友人や恋人に過ぎない男女関係で何が起こっても(裏切りとか浮気とか・・・)、家族法では何の対処もしません。こうした関係は、そもそも家族法による保護の対象にならないからです。

 

 

しかし、中には婚姻届の提出という手続はしていないけれども、長年同居し、お互い助け合い、夫婦同然の生活をおくっている男女もいます。家族法の大原則では、法律上の手続(婚姻届を役所に提出する)にしたがって結婚した夫婦だけを保護するので、こうした男女であっても、婚姻届を提出していない以上、保護の対象とはならないはずです。
ところが、実際にはこうした男女は「内縁」「事実婚」と呼ばれ、婚姻に準ずる関係として一定の保護が認められています。内縁や事実婚を保護するとは、家族法のどこにも定められていませんが、現実には内縁・事実婚もある程度保護されるのです。

 

 

こうしたことが生じるのは、家族法が「家族」という複雑な人間関係を規律の対象としているからです。家族は、単なる利害関係ではなく、家族1人1人の感情的なつながりの強い関係です。また、家族は各時代の社会の影響も受けます。そのため、単純に条文を当てはめるだけでは、現実の家族に合わない結果を招きかねません。そこで、家族について様々な観点から考え、柔軟に運用する必要が生じるのです。

 

 

このように、ルールでありながら厳格なルールとも言い切れない、なんとも不思議な世界が家族法の世界なのです。家族法を学ぶことは、家族を学ぶことでもあります。あなたも家族について考えてみませんか。

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